ロボアドバイザーとしてよく知られたサービスに「ウェルスナビ」と「THEO」があります。どっちにしようかと迷っている人も多いんじゃないでしょうか。
この記事では、手数料に注目して、どちらのほうが有利か、どちらのほうがおすすめかということを僕なりの視点で書いていみたいと思います。
基本手数料
これはどちらも「業界最低水準」の1%をアピールしていますね。
正直これが安いかというと、その受け止め方は人によります。
銘柄の選定から買い付け、リバランスなどをすべてやってくれることを考えると、それぐらいの手数料を払ってもかまわない、という考え方もあります。
一方で、自分で同じようなポートフォリオの投資信託やETFを買えば0.3%もかからないので、1%は高いという考え方もあります。
ここでは、ウェルスナビもTHEOも手数料は基本的に1%で変わらない、ということを言っておきましょう。
しかし、よく見てみると、これから紹介するような違いがあることがわかります。
手数料の割引
ウェルスナビもTHEOも、ある条件を満たした場合に、1%の手数料が割引になる制度を設けています。1%の手数料、高いかなあ。。。と思った人は必見ですね。
ウェルスナビ
長期割という割引を設定しています。次のような条件を満たしていると、毎月0.05%ずつ手数料が下がり、0.9%まで手数料が下がります。
・その状態で6か月間出金をしていない
6か月ごとに0.01%という小さなステップで、毎月割引率が加算されて、最大で5年で0.1%(0.01%x10回)の割引、つまり手数料が1%から0.9%に減るということになります。
5年が長期かというと、資産運用ではそれほど長期だとも思えませんが、コンセプトとしては「長く保有してくれたら割り引きますよ」ということですね。
ちなみに200万円以上の残高があると、この手数料割引ペースが、6か月で0.02%となり、2年半で0.9%の割引率に到達します。
ウェルスナビの場合は、この0.9%というのが、一般的には割り引かれた最小手数料ということになります。
THEO
THEOにはTHEO+金融機関、THEO+docomoのようにいろいろなパートナーと提携したものがありますが、まずは基本のTHEOでの割引手数料とその条件を見ていきます。
THEOではカラーパレットという手数料システムを設定しています。これに従ってある条件を満たすと、手数料は最大0.65%まで割り引かれます。この表ですね。

これだけ見ると、預入金額だけが手数料を決める要素になっているように見えますが、そうではありません。実際にはこのような条件があります。
・出金をしていないこと
・1-3月 / 4-6月 / 7-9月 / 10-12月での3か月の期間内の平均の預入残高がそれぞれの判定基準に達していること
積立をしている、出金をしないというのはわかりやすいですが、預入資産の金額の計算方法には多少注意が必要かもしれません。各期間の平均の残高が重要ということですね。
でも、これだとどうでしょう、1,000万円以上というのはハードルが高いとしても、イエローの0.7%なら目指せそうではないですか?
積み立て設定をして出金をせず、3か月の残高平均が100万円以上であれば、1%から0.7%に下がるというのは、かなり大きなアドバンテージだと思います。
THEO+docomo
さて、THEOシリーズの中でも、もっとも契約者が多くてよく知られているのは、docomoと提携したTHEO+docomoでしょうね。
THEO+docomoの場合、この手数料割引の条件が異なります。具体的にはこの2つの条件が追加になります。
・おつり積み立て設定をしていること
「えー、ゴールドカードって年会費高いんじゃ。。。」
はい、そうですね。dカードゴールドは年会費10,000円(税別)かかります。しかし、もしdocomoユーザーであればこれを活用しない手はありません。
これはこれで、長い話になってしまうので別記事にしたいと思いますが、簡単に言うと
=>23,500円相当のポイントが貯まる
・docomo携帯(およびドコモ光)の利用料x10%のdポイントが貯まる
=>毎月10,000円払っていたら、毎月1,000円相当のdポイントが貯まる
=>つまり
・年会費10,000円分は還元ポイントでほぼ回収できる
・THEO+docomoの手数料割引を受けられる
・ゴールドカードのその他さまざまな特典を享受できる
という内容です。
3000万円以上運用する場合
ところで、ウェルスナビもTHEOも、預入資産額が3,000万円を超えると、3,000万円を超えた分については0.5%の手数料に割り引かれます。
実はこれが両サービスともに最低の手数料なのです。
ただ、ここに3,000万円ぶち込める人って、どれぐらいいるでしょう。
また、0.5%が適用されるのは3,000万円を超える部分なので、3,000万円までは最低でも0.65%の手数料がかかります。
なので、これを取り立てて「最低手数料0.5%!!」とは言いにくいかなという気はします。
ロボアドバイザーの費用に含まれる作業
では、ロボアドバイザーはその手数料で何をしてくれるのでしょうか、というと、こういうことです。ロボアドでなければ、これらは自分で考えて、自分で実行する必要があることですね。
・適正な金融商品(ETF)の選定
・(ETF)商品の発注・購入
・資産配分率を維持するためのリバランス
・運用収益の再投資
資産運用の初心者であれば、これらを考えて実行する、ということはかなりハードルが高いですね。まさに、そこにロボアドバイザーの存在意義があり、約1%の手数料を払う意味なのですね。
その他にかかる費用
手数料は上で述べたとおりですが、その他に費用がかかるんじゃないの?というのが、次に気になりますね。
結論から言うと、追加でかかる費用というのはありません。すべてはこの手数料の中で賄われています。
例えばウェルスナビでは、ETFの保有コストについて、次のように明記されています。

実際にかかっているコストとしては、ETF保有コストの年率0.09%-0.13%というのがありますが、そのコストは追加で徴収されるわけではありません。つまりはETFの元本もしくは運用収益から差し引かれています。
一方のTHEOでは、ETF取引手数料はゼロと記載されています。

つまりTHEOの場合は、ETF保有コストはTHEOが負担しているということになります。
このことは、資産を預けている人からすると、その分だけTHEOのほうが運用収益がよくなるということになりますね。
個人的見解
ウェルスナビもTHEOも、基本的には手数料が1%、と考えていましたが、よくよく見てみると、長期割引があったり、運用額によって手数料が変わるという違いがありました。
ロボアドで大きな金額を本格的に運用しようと考えている人は、そのわずかな手数料の違いが大きく効いてくるので、よく検討してみることが必要かと思います。
一般的に考えると、THEOの手数料割引のほうがお得ですね。
3,000万円以下で考えると、ウェルスナビでは最小0.9%なのに対して、THEOは0.65%まで下がります。現実的な金額で考えても、THEOで0.7%を実現することは難しくありません。
この0.2%の差は、実際にはどのようなものでしょうか。ということで試算してみました。
100万円の元本を、同じ利回り3%で運用し、一方は手数料が0.9%、もう一方は0.7%という資産です。

運用1年目では差が2,000円ですが、毎年その差が拡大して、10年後には24,327円、20年後には60,485円へと拡大します。これを大きいと感じるかどうかは、人の受け止め方次第ですが、100万円に対する6万円ですから、割合としても大きいと感じる人は多いのではないでしょうか。
運用到達額としては、約4%の違いが出ることになります。
ロボアドに資産運用を託してみよう、と考えるのであれば、少しでも手数料が安くなる可能性のあるTHEOのほうが、適していると言ってもいいのではないでしょうか。
もちろん、もとになる運用利回りが違えば、運用結果も変わってきます。手数料で全てが決まるわけではありません。
実際の運用成績がどうなっているかについては、また別の記事で紹介したいと思いますので、参考にしてください。
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